2007,6,16〜23モルディブボートトリップ3


第2章:自然をなめるな!!

2007年6月17日(日)曇りのち雨、雷、嵐
つづき
朝6:00前起床。昨日、説明があった出発時間になっても船は動かず。必殺モルディブタイム!!
結局朝食後になってしまったが、料理は最高だ!
このボートトリップは波もさることながら”食事”で決まると言われ聞いた。
そこいくと、このボードの料理長の腕は素晴らしかった。


左端がフィッシャーマンのマミさん、中央が料理長、右端が甘粕男爵。

ようやく初サーフ。まずはサルタンに到着。サイズは腰〜肩。レギュラーオンリー。初〜中級者の多いメンバーにとっては
まずは肩ならし。でもでも天候は雷時化。ピカ☆ピカ☆ド〜ン!ズッバババ〜ン!!!と激しい落雷。
日本だったら絶対に入らない。いや、入ってはいけない。
ドキドキしながらも、何とか大丈夫!そのうちテイクオフするプリンス宮城の背中に稲妻が走る。
実は遥か遠くなのだが、インサイドから見ると宮城さんに直撃したように見えるのだ。

まあ、俺も島育ち。雷の恐さも知っているし近くではなかったので、これしきの自然は心配していなかった。
ここまでは。

俺は雨が降っていたので思いきってショートジョンで入った。でも海水は30度。一度乗ると大汗をかく。そんな感じだけど、
素晴らしく長く乗れるライトブレイクを楽しむことができた。楽しい楽しい!
ロッキーバーボンが一番ピークで待ちテイクオフ。新島で始めオーストラリアで鍛えた波乗りは一段と成長していた。
(但し、フロント(レギュラー)のみ。)
軽めに1ラウンドを終了。朝の波乗りでようやく目がさめた。船ではすでに昼食が用意されていて腹一杯食べる。


サルタンポイント

食事の休憩でデッキに出ると、イルカの群れが寄ってきた。
このあといろんなポイントですぐ前を平気で泳ぐイルカを見ることができた。
いったい何百頭いるのだろう!?


イルカの歓迎

午後からはチキンポイントに移動。こちらはレフト。まずはマミさんと二人でポイントへ。
マミさんも自分もグーフィーなので調子を確かめながら波乗り。今度は裸。
マミさんはショートで遊ぶ。流れるような波乗り。47歳になるプロはショートでも本当に上手に乗る。
100m以上乗れる波なんて、俺は、せいぜい島のスーパーレギュラーか海外でしか体験したことがないので、マミさん
ほどうまく抜けれない。さすがとしか言い様がない。


グーフィーがチキン、レギュラーがコーラ

それでも、リップを数回、カットバクを数回くり返すと、本当に島近くまで乗れ、プルアウトした後に沖を見るとがっかりするほど距離がある。
皆、笑顔、笑顔。ここにいない初〜中級者、それにレギュラー陣は反対側のコーラポイントに入っているようだ。
最後に残ったのは、マミさん、アラタ、宮城さん、ロッキー、じゅんじゅん、一平、アキラ、それに俺。
他に入っていた外国人は遅い昼食のために一旦上がったようだ。
我々だけの貸しきり。「最高〜!」なんて叫びながら満喫していた。ちなみにこの時は「アッハー!」は聞こえなかった。

俺は、長年のクセで最も奥のピークにポジションをとる。
外国人がいようと、これは最後まで譲らなかった。勿論、ドロップインもさせなかった。(ある時までは)
新島ローカルとしての誇りがそうさせてしまう。それでもガツガツはしないで譲ってあげる。
自分でキッパリ言うが、何ってやさしいのだろう。
昔の俺を知る人には考えられないだろうが。(笑)

話は逸れるが、俺の最大の武勇伝を一つ挙げるとしたら、あるローカルポイントで10人以上対1人でした時だ。
20年前、俺は、当時何処に行っても新島ローカルとしての誇りを持っていたから、猪木のように「いつ何時でも」と思っていた。
そんな時、2人のへたくそローカルが平気でドロップインをくり返してきた。
3度目にされた時は、堪忍袋の緒が切れた!2人は両手があったので楽勝だったが、3人目が来た時に「やばい」と思い岸に上がらせた。
今度は両足があると思ったからだ。そうしたらローカルが全員集まりだした。

まっあ、これ以上は書かないことにする。この話は誰かに聞かれた時についしてしまう。
何故なら、何度も経験している中で、一番相手が多かったからだ。
ホント、今考えれば、気が小さい(チキン)故の怒りだったなあって反省している。(*_ _)ゴメンナサイ

さて、チキンを満喫しているうち、ふと南西側の空を見ると、見たこともないような黒雲があった。
ちょっとヤバそうだなと思った時、ナイスアキラがナイスなタイミングで板をボートの方に向けて振る。
(これが迎えに来いという合図)
30分後、まったく迎えに来る様子なし。10分経過。反応なし。
そのうち黒雲が迫ってくるように見えた。「仕方ない戻ろう!」と、多分皆が同時に思ったのだろう。
一斉に、遥か彼方のボートに向かって漕ぎ出す。アラタ&アキラ以外は皆ショートだ。

船はチキンとコーラの間に停泊していてるのだが、それにしても遠い。後々わかるのだが、このキャプテンは
若い。ベテランの俺達から見ると、どう見ても海を良く知らない印象を受ける。
勿論、珊瑚礁がどこにあるとかモルディブの海洋地理的なものは知っていて当然だが・・・。
いくら大きな船とはいえ、どのポイントに入っても他の船と比べるとポイントからかなり遠〜くへ停泊する。
おまけにクルーも波乗りを知らない。
ついでにキャプテン寝てばかり。
かといって彼等が悪いわけではない。それがモルディブスタイルなのだろう。だから、あまり期待しきってはいけないのだ。


彼がキャプテンだ。

パトリングし始めてから数分、いったいボートまであと何百mあるのだろう。まだまだ遠い。
ようやくポイントと船の中間まで来た時だ。突風が吹き出した。
ヤバイヤバイと思いながらパトリングを続ける。
相変わらずナイスアキラがナイスなタイミングで板を振っているのだが気付かないようだ。
その内、強烈な雨も混じってきた。俺達の脳裏を、昨日のユウキくんの言葉が何度もかすめる。
実は夕べ、船に乗船した際、ユウキくんから俺達が到着する4日前に日本人が1人行方不明になっている話を聞かされていた。

状況は今とまったく同じらしい、話によると視界が5m程度となり1人の日本人と2人の外国人が行方不明になった、
外国人2人は何とか島に辿り着いて助かったのだが、日本人は現在も行方不明。その日本の方も初心者ではなく
静岡県から来た上級者ということだ。(後日、捜索に来ていた日本人の御家族の方を拝見した。)

波乗歴30年、島で育ちあらゆる自然を体験してきたはずだ。それが!!
豪雨を伴った突風はボート方向から吹いてきている。つまり、俺達が向かっている方向だ。
もう、どれだけ頑張ってもパトリングでは進まない。逆にポイントまでも戻れない。
もどれば、ピークの遥か先の沖まで流されてしまうのは確実だ。つまり、行方不明。
皆、離ればなれにならないように無言で合図をおくる。

その時だった。ようやくピックアップボートが来た。間一髪だった。


これが命綱のボート

実は、デッキから唯一、甘粕男爵、いや甘粕男爵様が見ていてくださった。
突風が吹いて危険と判断した男爵様は、まずコーラに入っている女の子達をピックアップさせ、次に上級者が揃って
いる俺達を後にまわしたのだ。
「ナイスジャッジ!!」甘粕男爵様。もし、男爵様がいなければ静岡のサーファーと同じ運命を、俺達はたどっていた。
俺達を収容した「SHARFA」は急いでアンカーを上げ、嵐の中を波静かな湾に向け、ゆっくり動き出した。


夕暮れにたたずむ甘粕男爵

つづく




←前へ 次へ→